インバーターで井戸水ポンプを働かせる(震災時対策用)

震災時に電気、水道、ガス等のライフラインが切れた場、真っ先に問題となるのは水だと思います。

飲料水はコンビニでミネラル・ウォーターが手に入りますが、切実なのはトイレの水とお風呂です。これらの水は割と大量に使うのでミネラル・ウォーターを使う訳にも参りません。

田園調布親和会の地区では意外と井戸水ポンプを使用している家庭が多いのですが、水道が止まっている場合は電気も止まっている可能性が高いようです。

阪神大震災の場合、電気の復旧は割と早かったのですが水道の完全復旧にはかなりの期間がかかったようです。

そこで電気が復旧するまでの数日間、町内の生活用水の確保手段として井戸水ポンプを自動車のバッテリーから得た電気で働かすことが出来ないか実験しました。

井戸水ポンプは起動電流が大変大きく、従来は高価な大型のインバータでないと使えませんでした。ところがエレクトロニクス技術の進化により、小型で瞬間的に大電流が取り出せ、しかも安価という製品が登場してきました。私は過去に井戸水ポンプを働かそうとして、レジャー機器用のインバーター(500W)から煙をモクモク出して1台ダメにした経験があります。今回はちゃんと井戸水ポンプが廻るでしょうか?


実験に使用した車、単なる軽自動車です。


実験に使用した井戸水ポンプ日立CT-P250F井戸水ポンプ公称250ワットですが起動電流は瞬間最大で17.8アンペアもありました。モーターが廻ってしまえば消費電流は3アンペア程度に下がります。


実験に使用したインバーターMeltec CD-10001000ワットインバーター最大瞬間出力2000ワットだそうです。


インバーターの太いケーブルを車のバッテリーにしっかり接続します。CD-1000の場合クリップ端子で挟むのではなく丸形端子をネジ止めします。スパナが必要でちょっと面倒ですがこの方が確実なようです。
最初インバータの電源スイッチを切っていても、バッテリに接続する時、パチッと軽く火花が飛びます。これはインバータの内部にあるコンデンサーという電気をためる部品に充電される電流が流れるためです。驚かないで下さい


こんな感じに接続します。インバーターの100V端子に井戸水ポンプのプラグを差し込みます。
インバータの電源スイッチを入れる前に車のエンジンを始動させアイドリング状態を保ちます。インバータは、水がかからないように、台の上に乗せた方がよいでしょう。


電源スイッチを入れると、ほうれこの通り井戸水が勢い良く出てきました。
井戸水ポンプが働く瞬間「ピッ」と言う警告音が聞こえますが、これはモーターが起動する瞬間バッテリーの電圧が10.5V以下に下がるために、バッテリ電圧の低下を知らせる警告音が鳴るためです。気にしないでOKです。

10分程度運転してみましたがインバーターは発熱もなく放熱用のファンも回りませんでした。起動時に大電流が必要ですが、いったんモーターが廻ってしまえば消費電流は下がるようです。

配線を外す場合は、インバーターのスイッチを切った後、電源の片側を外して再びインバーターのスイッチを入れます。「ピー」というバッテリー電圧低下の警告音が2秒程度鳴ります。なり終えたらもう片側のケーブルをバッテリーから外します。こうしないと、不用意にインバーターからのコードをショートさせると、又パチッと火花が飛びます。
これはインバーターのコンデンサーにたまっていた電気がショートするためです。電源スイッチを入れることによりコンデンサーにたまっていた電気をゆっくり放電させることが出来ます。

この実験を行ったのは、町内会でエンジン発電機を購入しようかどうか議題に上った時、「高齢者が多い町内会でエンジン発電機を維持するのが困難ではないか?」と言う意見が出たためです。
実際エンジン発電機は使わない場合でもある程度のメンテナンスが必要ですし、長期間使わない場合はキャブレターやガソリンタンクからガソリンを抜いておかなければなりません。又エンジン始動もなれない人には面倒です。ガソリンも購入して運んでこなければなりません。

自動車は走るガソリンタンク付発電機の様なものです。しかも始動はエンジンキー・スイッチをひねれば簡単に出来ます。防災機器としてインバータの活用を考えてみてはいかがでしょうか?

ちなみにこの実験のあと、我が家の大型冷蔵庫(450リットル200ワット起動電流17.5アンペア)をこのインバータで運転したところ正常に動作しました。
震災後の停電時に冷蔵庫の食品が全部だめになった話をよく聞きました。これがあれば時々冷蔵庫を運転することによって冷蔵庫の食品の傷みを少なくさせることが出来そうです。我が家にも1台欲しくなりました。

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